ビールの縁側

HIROSHIMA NEIGHBORLY BREWINGのはなし

目指すのは、広島のNeighborlyな醸造所。
かかわるみんなが笑顔になれるビールを造りたい。

広島市の中心部にあり、世界平和の象徴として開設された平和記念公園の東側、元安橋から続く通りに「広島本通商店街」があります。地元では「本通り」と呼ばれ、広島の商業と文化の中心地として、地元の人に愛される広島の代表的なショッピングストリートです。2020年8月、本通りのアーケードに面したビルにオープンしたブルワリーが「HIROSHIMA NEIGHBORLY BREWING(ヒロシマ ネイバリー ブリューイング)」。ビールは併設の飲食店「CRAFT BEERと炭火はればれ」でも飲むことができます。ヘッドブルワーを務めるKarl Warsopさんにお話を聞きました。

ビアスタイルやレシピで変化をつけ、多彩な広島の味を楽しんでもらいたい

 

HIROSHIMA NEIGHBORLY BREWING(以下、HNB)は、人通りの多い商店街の路面店です。オープンな店構えなので、ときどきブルーパブというのを知らずに来店される方もいます(笑)。買い物ついでや仕事帰りにふらっと気軽に立ち寄ってもらいたいのでどなたでも大歓迎ですよ! 

 

HNBを立ち上げるときは誰もが気軽に集まれる場所、広島の街の中心部で「みんなのそばにある醸造所」を目指しました。ブルワリーの名前につけた「Neighborly(ネイバリー)」には、「隣人の」「親しみのある」「人づきあいがよい」という意味があります。地元とのつながりを大切にしたいという思いを込めて、地域の農家さんや事業者の皆さまに協力していただきながら広島を中心とした地域資源を活かしたビール造りをしています。

 

 

代表的な素材としては、広島レモンです。

 

瀬戸内の温暖な気候に恵まれてレモンの生産量日本一を誇る広島ですが、実はネーブルオレンジの生産量も日本一なんです。特に、しまなみ海道の真ん中あたりにある瀬戸田町は、県内でも柑橘栽培がさかんな場所。その瀬戸田で農薬や化学肥料には頼らず、植物本来がもつ自然の力にこだわって栽培する「citrusfarmsたてみち屋」さんが育てたおいしいレモンとネーブルを使ってビールを仕込んでいます。その名も「レモブル GO HIROSHIMA」。広島の明るい未来を感じられるような黄金色のゴールデンエールです。また、同じレモンを使ったセッションIPAや、成熟前の若いグリーンレモンを使ったセゾンなど、同じ柑橘でもビアスタイルやレシピに変化をつけて、さまざまな味を楽しんでいただけるようなビール造りをしています。

 

他にも、HNBでは三原市にある「梶谷農園」さんのハーブや、ワイナリー「瀬戸内醸造所」さんのワインで使われているブドウ、三次市産の生姜や紅はるか(さつまいも)、庄原市のりんごなど、広島県産の素材を積極的に使って醸造してきました。

 

 

また、今年は、県内で収穫したフレッシュホップを初めて仕込みに使ってみたんです。暖かい気候では栽培が難しいといわれるホップですが、中国地方や九州での栽培実績もありますし栽培に意欲的な若い人もいます。そういった広島の人たちと一緒にチャレンジしながら、広島に根づいてきたビール文化を守っていきたいと思っています。

 

とれたてのフレッシュホップをはじめ、野菜や果物などの農作物を使うビールは、作物の種類や状態によって成分が違うので、狙った香りや味わいを引き出すために仕込みもシンプルなものより難しくなるんです。クリエイティブな要素が強いので毎回チャレンジですが、判断に迷うときは醸造研修でお世話になった先輩ブルワーに相談してアドバイスをもらいます。ブルワーはお互いに協力し合って良いものを造ろうという意識が強いので、横のつながりは心強いですね。

 

自然と笑顔になれるビールを通じて、広島の良さを伝えていけたら

 

私たちはビールや飲食というフィルターを通して、広島にしかない自然や風土、文化、そしてそこで暮らす人たちの魅力を発信していきたい。できる限り「クラフトビール」というコンテンツの力で広島の良さを伝えていきたいと思っています。長引くコロナ禍ですっかり活気を失ってしまった広島の街と、それを支える農業や飲食、観光などの地元産業と一緒に盛り上げていきたいんです。

 

ノースカロライナ州出身の私が日本のクラフトビールのおいしさを知ったのは、語学教師として静岡で働いていたときに参加した横浜のビールのイベントです。そのときに初めて飲んで感動したのが、「大山Gビール」(鳥取県)さんのインペリアルスタウト。「こんなに香り豊かで、じっくり飲めるビールがあるなんて!」と心を揺さぶられました。その後2008年、初めて来日したときに暮らしていた広島に。市内のビアバー「GOLDEN GARDEN」や「RAKUBEER」に通うようになってクラフトビールの多彩な世界に触れ、「地ビールフェスタinひろしま」(※)の手伝いなどをするうちに、自然と興味の対象が飲むことから造ることへシフトしていったんです。

 

 

修行先として和歌山県の南紀白浜にある「ナギサビール」さんで約2年半、働きながら醸造の基礎から学び、広島でブルワリーを立ち上げる計画を進めていた「GOLDEN GARDEN」「RAKUBEER」の運営会社に入社しました。さらに醸造技術を磨くために、確かな醸造技術で世界的な評価を集める「大山Gビール」さんや、枠にはまらない自由でクリエイティブなビールを生み出す栃木県の「うしとらブルワリー」さんで開業前に修行を積ませていただきました。造り手や醸造所によって材料の選び方からレシピのデザイン、醸造に対する考え方も違うので、実地研修で学ばせていただいたことは貴重な経験になっています。

 

ビールは笑顔がもっとも似合う飲みものでしょう?

 

グラスを手に乾杯すれば、自然と笑顔が広がっていきます。

 

そんなビールがそばにある日常を広島で実現できたら。

 

飲む人も、造る人も、応援してくれる人も、HNBのビールに携わってくれる人みんなが笑顔になって、何杯でも飲みたいと思っていただけるビール造りをしていきたいです。

 

(※) 2008年から旧広島市民球場跡地で開催してきた中国・四国地方最大のビールイベント。

 

取材・文/山口 紗佳

鈴木オーナー

どこでも好きな場所でフレッシュな樽生のビールが飲めることが魅力的だと思います。広島からさまざまなスタイルのビールを送り出していきますので、これからも楽しみにしていてくださいね。

OTHER BREWERIES

その他のブルワリー

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Monterey Brewing

長野県塩尻市

福島のおいしいビールをお届けすることが一番の恩返しになるから、技術を磨き続ける。

みちのく福島路ビールは、福島市郊外の丘陵にあるアンナガーデン内に1997年に創業された家族経営の醸造所。吾妻山系を臨むうつくしいガーデン内で、厳選された原料と地元の果物を使ってつくられるビールにはファンも多くいます。現在醸造長を務める吉田真二さんは、2009年にホテルの仕事からビール醸造の世界に飛び込みました。醸造への不安や、東日本大震災によって何度も壁に当たりますが、その度に手を差し伸べてくれたお客さんやブルワー仲間、家族がいました。多くの人たちとの助け合いの輪が、今のみちのく福島路ビールのおいしさにつながっています。

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福島路ビール(福島県)吉田 真二

福島県福島市

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カルテットブルーイング(長野県)椎名 将

長野県軽井沢町

もっと自由に!もっと面白く!もっと気軽に!クラフトビールを身近なものにしたい

「Vector Brewing」がある東京都台東区浅草橋は、下町の情緒が残るモノづくりの町。2016年に新宿で誕生した醸造所は、2017年に醸造の拠点を浅草橋に移し、常に“面白い”ビールを発信しています。それはクラフトビールをもっと自由で気軽に楽しんでもらうため。ユニークなデザインとネーミング、豊富なラインナップは初心者でも手に取りやく、クラフトビールファンをジワジワと増やしています。元銀行員でラガーマンだという異色の経歴をお持ちのブルワー三木敬介さんにお話を伺いました。

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VECTOR BREWING

東京都大田区

ビール文化が根づいたカナダのように、日本でもおいしいビールを気軽に

北海道の中部、石狩平野の中央にある江別市は、国産小麦の代表格として知られる「ハルユタカ」が生まれた土地。パンや麵、スイーツ、ビール醸造に適した国産品種がいくつも誕生した日本有数の小麦の産地です。札幌市の中心部から近く、空港や港湾へのアクセスも良いことから、生活に便利なベッドタウンでもあります。その江別自慢の「ハルユタカ」を使ってビールを醸造しているのが、2009年から江別市で醸造をしている「NORTH ISLAND BEER」。元ヘッドブルワーで現在は取締役工場長を務める多賀谷壮さんにお話を聞きました。

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NORTH ISLAD BEER(北海道)多賀谷 壮

北海道江別市

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