ビールの縁側

HAKUBA CRAFT(長野県)のはなし

清らかでやわらかい純水は白馬の自然そのもの。「硬度ゼロ」の雪解け水がふるさとの未来を潤す。

北アルプスの雄大な山々に抱かれた長野県白馬村。世界有数のパウダースノーを誇り、1998年には冬季オリンピックの舞台にもなりました。冬はスキーやスノーボード、夏は登山やトレッキングを楽しむ人々で賑わう国際的なマウンテンリゾートです。2021年9月、そんな白馬の大自然の中、栂池高原スキー場ゲレンデの目の前という場所に「HAKUBA CRAFT」はオープンしました。故郷への熱い想いを胸に、幼なじみ3人でブルワリーを立ち上げた共同代表のひとり、村田仁志さんにお話を聞きました。

静まり返った白馬の景色が、3人を突き動かした

 

「白馬をなんとかしたい」

hakubacraft_top

すべては、その一心でした。
3人とも白馬村で育ち、一度は故郷を離れて東京で働いていたんですが、2019年頃から、仕事終わりに渋谷のカフェで顔を合わせては、そんな話ばかりしていました。僕らは白馬のジュニアユースのサッカーチームで一緒だった幼なじみです。でも、そのときはまだそれが具体的な事業になるなんて、思ってもいませんでした。

 

すべてを変えたのが、新型コロナです。
観光業で栄えていた白馬が受けた打撃は想像を絶するもので、緊急事態宣言が全国に拡大した年の観光客は、前年比90%以上減まで落ち込みました。静まり返った故郷の姿を見て、僕らの想いは、ただの感傷から切実な使命感へと変わっていったんです。

 

覚悟が決まったのは、会社設立前に仲間たちと実施したクラウドファンディング。
そのプロジェクトは、外出自粛で売り上げがなくなり、最も苦しんでいた宿泊施設を支援するために、「コロナが明けたら使える観光チケット(宿泊券)」を前売りする企画でした。資金も実績もない僕らができる数少ない支援策として、一軒一軒、宿を回っては頭を下げて、想いを伝えて。「どうか、やらせてください!」って。
そうやって7軒の宿が賛同してくれたプロジェクト。

 

結果、95名から目標金額を超える支援を受けることができました。
この企画を通じて、地元の方々からいただいたたくさんの「ありがとう」という言葉。あのときの、心の底から湧き上がってきた「やってよかった」という熱い想いは、今でも忘れられませんよ。人の喜ぶ顔を見ることの尊さ、故郷に貢献できることの喜び。それが、僕らを「事業として、本気で白馬の未来を創ろう」という道に突き動かした原動力になりました。
そこから、僕らの本当の挑戦が始まったんです。

 

故郷の課題が生んだ、逆転の一手

 

事業の核としてクラフトビールを選んだのには、明確な理由がありました。

HAKUBACRAFT_内観

白馬の課題を徹底的に調べ上げる中で見えてきた、ある深刻な問題。それは、観光客が心から楽しみにしている「地元の食」を味わえる飲食店が白馬エリアには少なくて、「夕食難民」という言葉が生まれるほどだった、という現実です。美しい景色はある、最高の雪もある。
でも、外から見ると旅の夜を彩る「食体験」や「名産品」が欠けていた。

 

「それなら、僕らがその機会を創ればいいじゃないか」

 

そうしてたどり着いたのが、食事も楽しめる「ブルーパブ」でした。
数あるお酒の中でビールを選んだのは、食事とのペアリングの幅が広くて、多くの人に楽しんでもらえる可能性を秘めていると感じたから。醸造所併設のブルワリーレストランであれば、飲食を楽しみながらゆっくりコミュニケーションがとれます。

HAKUBACRAFT_外観

さらに、まるで運命に導かれるように、最高の場所との出会いがありました。
栂池高原スキー場のゲレンデの目の前 。もともと僕の兄が営んでいたレンタルスキーショップの場所が空くことになったんです。スキーやスノーボードを履いたまま滑り込んできて、食事やビールを楽しんで、また滑りに行く。そんな、特別な体験ができる場所。これ以上ない舞台です。カレーやラーメンが定番だった、これまでの「ゲレ食」の常識を覆し、地元の食材を使ったこだわりの料理とできたてのビールで、白馬の旅を最高の思い出にしてもらう。

 

僕らの進むべき道が、はっきりと見えた瞬間でした。

 

ビールに溶け込む魂は、白馬の自然そのもの

 

HAKUBA CRAFTのビールは、徹底した「飲み手目線」から始まります。
「こういうビールが造りたい」という僕らのエゴではなく、「白馬に来てくれた人が、どんなビールを飲んだら喜んでくれるだろう?」という視点が、すべての原点なんです。

 

その象徴が、定番ビールの「Awayuki -Weizen-」です。

HAKUBACRAFT_ビール

開発前に、ビール好きな友人や知人、約20人にインタビューしたんです。
「白馬と聞いて、どんなビールを想像しますか?」って。そうしたら、驚くことに9割以上の人が「白ビールが飲みたい」と答えたんです。やっぱり白馬といえば雪。その真っ白なイメージが、皆さんの心に深く刻まれているんですよね。その声を受け取って、スタイルはヴァイツェンに決めました。さらに、スキーやスノーボードで汗を流した後に、ゴクゴクと喉を潤せるように、アルコール度数は3.5%と低めに設計。こちらの哲学を押し付けるのではなく、この土地の思い出に寄り添う一杯でありたい。それがHAKUBA CRAFTの目指すビールです。

 

その哲学を根底から支えているのが、HAKUBA CRAFTの命とも言える「水」。

HAKUBACRAFT_ボトル

ブルワリーのすぐそば、標高1,000mから湧き出る雪解け水です。
自治体の水質調査データを見て、僕らは自分の目を疑いました。水中のミネラル分を示すカルシウムとマグネシウムの値が、なんと「ゼロ」。にわかには信じがたく、役場に問い合わせたほどです(笑)。これは、白馬の急峻な地形が生んだ奇跡だとか。勾配がなく、ほぼ垂直に流れ落ちることで、雪解け水が地層に長く留まることなく、ミネラルを吸収する前に一気に流れ落ちてくる。だからこそ、不純物がほとんどない「硬度ゼロの超軟水」が生まれるんです。

 

この水でビールを仕込むと、驚くほどすっきりとした飲み口になります。
水のクセが一切ないから、麦芽やホップの繊細な香りや味わいが、どこまでもクリアに真っ直ぐに伝わる。僕らが表現したいビールの味を、この水が最大限に引き出してくれるんです。HAKUBA CRAFTのビールがすっきりとして飲みやすいのは、この水のおかげです。

 

汗と涙が染み込んだ、手作りの醸造所

 

もちろん、何もないところからブルワリーを立ち上げるのは、想像以上に過酷な道のりでした。醸造のノウハウは、浅草橋の「VECTOR BREWING」さんで研修を受け、ゼロから学ばせていただきました。最大の壁は資金。潤沢な資金があったわけではないので、できることはすべて自分たちの手でやるしかなかった。

HAKUBACRAFT_タンク

ブルーパブの内装は、壁塗りから床貼り、タイルの施工まで、すべて仲間たちとのDIYです。何より大変だったのは、醸造設備の搬入!ブルワリーが建物の2階にあるため、巨大なタンクをクレーンで吊り上げ、窓から搬入したんです。日々の仕込みでも、何十キロもある麦芽を階段で運び上げ、水分を含んで倍以上に重くなった麦芽粕を運び出す。文字通り、体力勝負です。

 

こうして誕生したHAKUBA CRAFTが迎えた最初の冬。
僕らは再び驚かされることになります。

 

予想を遥かに上回る冬に需要に、ビールの供給が全く追いつかなくなってしまったんです。
早々に在庫を切らしてしまい、楽しみに来てくれたお客様や、商品を置いてくれているお店に、何度も頭を下げて回りました。この極端に増える冬季の需要は計算外でしたね。でも同時に、HAKUBA CRAFTのビールが、この白馬でこれほどまでに求められているという、何よりの証でもありました。この経験が、「もっと多くの人に、安定してビールを届けたい」という、第2工場建設への強い決意に繋がりました。

 

近年の物価高騰で計画当時より時間はかかっていますが、生産体制の強化は着実に進んでいます。3年前からは、自家栽培でホップも育てているので、将来的にはこの土地で採れたホップで造る「100%白馬産ビール」を皆さんに届けるのが夢ですね。

緑が美しいグリーンシーズンは、登山、トレイルランニング、マウンテンバイクなどのアクティビティでにぎわいます。季節ごとに表情を変える白馬を思いっきり楽しんだ後に、白馬の自然が育むHAKUBA CRAFTで乾杯しませんか?

 

 

取材・文/山口 紗佳

 

 

【公式HP】https://hakubacraft.jp/

【Instagram】https://www.instagram.com/hakuba_craft/

【X】https://x.com/hakuba_craft

鈴木オーナー

僕らのビールは、白馬の雄大な自然の中で飲むことも最高な体験になりますが、お家での贅沢時間や、アウトドアシーン、ちょっとした贈り物にもおすすめですので、白馬の大自然を感じられるビールをお楽しみいただければ幸いです。ビールが苦手な方にこそ、フルーティーで飲みやすい「Tropical Snow (Hazy IPA)」を、ぜひ!

OTHER BREWERIES

その他のブルワリー

醸造っておもしろい!
ワイン醸造家×木彫のまち「井波」のビール造り

富山県西部に位置する南砺市井波地区。八乙女山の麓に広がるこの地は、室町時代に建立された瑞泉寺の門前町として栄え、今も町のあちこちでノミの音が響く「木彫り彫刻の町」として知られています。しっとりとした石畳の通りには、職人たちの工房や歴史的な建造物が軒を連ね、ものづくりの精神が深く息づいています。そんな職人の町に、新たな醸造所「NAT.BREW」が2022年12月にプレオープン、2023年2月からビールの提供を開始しました。ヘッドブルワーの望月俊祐さんにお話を聞きました。

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NAT.BREW

富山県南砺市

日本産ホップとフレッシュホップビール、福島県田村市で循環の輪を広げる。

阿武隈高原の深い森と里山に抱かれた福島・田村市都路町。標高約620mの涼やかな場所にある自然豊かな地域です。この地に広がる「グリーンパーク都路」は、オートキャンプ場やディスクゴルフ、花畑、展望台などが備えられた複合施設。2020年11月、東日本大震災から休眠状態だったこの施設を改修して、ホップ栽培から手かげる「ホップガーデンブルワリー」とロッジ施設がオープンしました。運営元のホップジャパン代表の本間誠さんにお話を聞きました。

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ホップガーデンブルワリー

福島県田村市

ビールの声に耳を澄ませて。
チェコ人醸造家の人生を映す、ごまかしの効かない一杯

富山県の県庁所在地、富山市北部に位置する港町・岩瀬。江戸から明治にかけて日本海を往来した北前船の寄港地として栄え、当時の面影を残す廻船問屋が軒を連ねる古い町並みが大切に保存されています。歴史が息づく地にある「KOBO Brewery」は、2017年10月にその歩みを始めました。チェコの伝統的な製法を守り、妥協のないビールを造るチェコ出身醸造家のコティネック・ジリさんにお話を聞きました。

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KOBO Brewery

富山県富山市

原点は「妻と一緒に楽しめるビール」
惚れ込んだ高知の恵みを込めて、地域と身近な幸せを支えるものを。

高知県香美市。高知県東部に位置し、森林率約9割という緑豊かな香美市は林業と柚子、椎茸栽培が盛んな地。中でも柚子の出荷量は日本一を誇ります。紅葉で名高い「べふ峡」や「西熊渓谷」、日本の滝百選に選ばれた「轟の滝」など四季折々の自然が楽しめる景勝地も多く自然豊かな地域です。そんな土佐の素材を使い、“土佐(とさ)っこ”に愛されることを願って、2018年「TOSACO」は「高知カンパーニュブルワリー」が送り出すビールブランドとして香美市に誕生しました。代表でブルワーの瀬戸口信弥さんにお話を聞きました。

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合同会社高知カンパーニュブルワリー

高知県香美市

ビールも麦茶も味噌づくりも。
“ふたこ”育ちのものでコミュニティも醸されていく

東京都世田谷区二子玉川エリア。東京中心部に近いアクセスと充実した商業施設がありながらも、多摩川に面した豊かな自然や昔ながらの商店街と、快適な住環境に恵まれた二子玉川は、都会の利便性と自然が調和したエリア。古くから住宅地として人気を集めています。二子玉川駅周辺では再開発が進み、玉川高島屋ショッピングセンターの裏路地に誕生した商業施設が「柳小路」です。個性豊かな飲食店が入る柳小路の南角に2019年にオープンした「ふたこビール醸造所」。代表でブルワーの市原尚子さんにお話を聞きました。

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ふたこビール醸造所

東京都世田谷区

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特定商取引法

企業名

reth株式会社

所在地

〒339-9301 長野県北安曇郡白馬村大字北城12304

運営統括責任者

代表取締役 村田 仁志

電話番号

050-3131-8001

メールアドレス

info@hakubacraft.jp

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酒類販売管理者標識

販売場の名称及び所在地:HAKUBA BEER GARAGE 長野県北安曇郡小谷村千国乙12840-1 研修受講年月日:令和6年12月22日 酒類販売管理者の氏名:村田 仁志 次回研修の受講期限:令和9年12月21日 研修実施団体名:全国小売酒販組合中央会

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