KOBO Brewery(富山県)のはなし
ビールの声に耳を澄ませて。
チェコ人醸造家の人生を映す、ごまかしの効かない一杯

KOBO Brewery
富山県富山市
富山県の県庁所在地、富山市北部に位置する港町・岩瀬。江戸から明治にかけて日本海を往来した北前船の寄港地として栄え、当時の面影を残す廻船問屋が軒を連ねる古い町並みが大切に保存されています。歴史が息づく地にある「KOBO Brewery」は、2017年10月にその歩みを始めました。チェコの伝統的な製法を守り、妥協のないビールを造るチェコ出身醸造家のコティネック・ジリさんにお話を聞きました。
発酵の声にしっかり耳を澄ますピルスナー造り
もし「KOBO Breweryの魂は?」と聞かれたら、迷わずこの「プレミアントピルスナー」だと答えます。原材料はシングルモルト、シングルホップ。これ以上ないほどにシンプルです。だからこそ、味も香りも一切のごまかしが効きません。造り手の技術、経験、そして魂そのものが、グラスの中にそのまま映し出される。そんな潔さと緊張感が好きです。私がビール造りで何より大事にしているのは、この妥協のないビールをいつ飲んでもおいしい状態に保つこと。定番ビールは6種類スタイルが違いますが、年間を通して一定の品質をキープしています。具体的には「温度」と「時間」のコントロールですね。仕込み作業は1日中分刻みで動いています。
目指しているビールは、特別なものではありません。
「いつ飲んでも、心からおいしいと言える」。そんなごく当たり前で、だけど一番難しいことを追求しています。いろいろなクラフトビールを楽しんだ後でも、「やっぱりここのビールが落ち着く」と、いつでも安心して帰ってきてもらえる。そんな、飲む人にとって “ホーム”のような存在でありたい。このピルスナーには、そんな願いが込められています。
「自分らしいビール」の原点は、ルーツであるチェコの伝統的なビール造りにあります。例えば、うちのラガーは仕上がるまでに2ヶ月ほどかかります。日本では一般的に1ヶ月程度かかるラガーですが、KOBO Breweryでは昔ながらのビール造りを、大切に守り続けています。
なぜそんなに時間がかかるのか。
それは、炭酸を人工的に注入しないからです。発酵の過程で酵母が生み出す、きめ細やかで自然な炭酸を時間をかけてゆっくり、ゆっくりとビールの中に溶け込んでいくのを待ちます。
これは、ビール造りの中で譲れないこだわりの一つです。
このブルワリーを立ち上げたのも、自分が得意とするチェコ伝統のボヘミアンピルスナーをより知ってもらい、楽しんでもらいたかったから。
おいしいものは時間がかかる。
これはチェコで昔から言われている言葉です。
14歳の決意から、故郷チェコで醸造家として10年
私がものづくりの道に進むと決めたのは14歳でした。
チェコは日本と教育システムが違い、14歳で将来自分がどの道に進むかを決めなくてはなりません。もっと言うと、小学校1年生から留年があり、当たり前に進学できるわけではないのです。幼くして常に自分の人生と向き合い、学びを続けていく。だから14歳になる頃には、自分の将来を具体的に考えられるようになっています。日本の感覚だとまだ若すぎるように思うかもしれませんが、チェコではもう立派な大人としての決断が求められます。
当時の私は食べることが大好きでした。ですから、ごく自然な流れで「食品関係」の道を選び、専門学校の門を叩きました。そこでワインなど、いろいろな醸造を学ぶ中で、「これだ!」と感じたのがビールだったのです。そこからはビールの世界にのめり込んでいきました。私にとってはこれが運命だったのだと思います。
卒業後は、チェコでも有名なブルワリーの他、大小さまざまなブルワリーでビール職人として働き始めて10年。私の人生のすべては、あの14歳の決断から始まっているのです。
遠回りこそ本物へ至る道。伝統製法への揺るぎない信念
チェコで安定したキャリアを積めたはずの私が、なぜ日本に来ることになったか。
それは「縁」としか言いようがありません。きっかけは、石川県の奥能登にあるブルワリーからの招待です。当時は代々チェコ人がブルワーを務めていて、私の友人がヘッドブルワーとして活躍していましたが、国に帰ることになって後任を探していたとき、「日本に興味があるならどうだ?」と。
正直不安がなかったわけではありませんが、それ以上に好奇心と「友人の頼みなら!」という気持ちが勝ちました(笑)。そこで2005年、まずはお試しで3ヶ月だけ日本に滞在したのが始まりです。日本語も全く話せない状態で来日しましたが、能登の人が本当にやさしかった。さらに私の心を奪ったのは、故郷にはない素晴らしいロケーション、「海」でした。穏やかな美しい海を毎日見られるなら最高じゃないか!と。
その居心地の良さから始まって、気づけば13年です(笑)。
やがて妻と出会い、人生の拠点も彼女の故郷である富山へ。
そしてこの町で、自分たちのブルワリーを立ち上げる決心をしたのです。客観的な評価や賞をもらうのはうれしいです。でも、お客様の「生の声」に勝るものはありません。「おいしい」がすべての原動力。イベントなどでお客様と直接お会いする瞬間。私たちのビールを一口飲んで「おいしいね!」「やっぱりこれだね!」と言ってくださる。そのときのあの笑顔。
あれを見ると、うれしくて胸がいっぱいになりますね。
大きなイベントだと、「うちのビールなんて、まだまだ知られていないんじゃないか」と不安になることもあります。でも「このビールを飲みに来たんですよ!」と、わざわざ私たちのブースを探して来てくださる方がいる。その言葉を聞くたびに、「ああ、私たちのビールは、ちゃんと届いているんだ」と実感できて、また明日から頑張ろうという気持ちになります。その「おいしい」を聞くために、一切の妥協を許さず、品質を守り続けているのです。
振り返れば、私の人生はいつも「縁」に導かれてきました。
そして、その中心にはいつもビールがある。KOBO Breweryのビールを飲んでくれる人とも、きっと何かの縁で繋がっているのだと思います。その一杯が、人生にとって最高の乾杯になるように。
これからも正直に、妥協なく、ビールを醸し続けていきます。
取材・文/山口 紗佳
【公式HP】https://www.kobobrewery.jp/
【Instagram】https://www.instagram.com/kobo_brewery/
【facebook】https://www.facebook.com/kobobrewery

いつ飲んでも「おいしい」と安心してもらえる存在でありたいです。BBQには、すっきりした「プレミアントピルスナー」がぴったり。肌寒くなって、お魚がおいしくなってきたら「ペールエール」、肉料理を楽しむなら芳醇な香りの「3Aラガー」がおすすめ。ビールが苦手な方には、苦さが控えめな「ヴァイツェン」から試してみてほしいですね!
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