ビールの縁側

MITSUKE Local Brewery(新潟県)のはなし

地元に愛される「まちのブルワリー」を目指して、
もっと見附のことを知って、結びついていきたい。

中越地方に属する新潟県中央部にあり、重心をとるとど真ん中に位置することから「新潟のへそ」とも呼ばれる見附市は、県内で最も面積の小さなまち。市内には信濃川水系の刈谷田川が流れ、田園地帯が広がる豊かな自然を有しています。2006年に見附市内の住宅街にオープンした「cafe ho.cca(カフェ ホッカ)」は、夜はウイスキーやカクテルを提供するショットバーとして営業しています。そのカフェに2018年から併設されたのがMITSUKE Local Breweryです。代表でブルワーの中嶋正和さんにお話を聞きました。

初めて飲んだ「PUNK IPA」に衝撃を受けたんです。 こんなにおいしいビールがあるのか!って

 

Cafe ho.cca開店10周年を記念して、お客さんとオリジナルビールを造ったんです。節目なので思い出に残るものにしたいと思って、馴染みのお客さんと一緒にお付き合いのあった宇都宮の「BLUE MAGIC」に仕込み旅行に行きました。そこでブルワーの中尾さんに教えてもらいながら造ったアメリカンペールエールが感動的においしくてね。自分たちで造った達成感もあって、忘れられない経験になったんですよね。それからですね、ブルワリーの立ち上げを考えるようになったのは。

 

新潟と言えば日本酒が有名で各地に酒蔵がありますが、かつては見附市内にも日本酒の酒蔵があったんです。でも今はこれといって有名なものがないので、見附で全国に誇れるビールを造って地元をPRしたいと思って。そして地域に根付いたBLUE MAGICのように、地元で愛されるブルーパブをもちたいと思うようになりました。昔は地元が嫌で関東に飛び出したんですけどね(笑)。

 

2006年にカフェをオープンする前は、埼玉でバーテンダーをしていたんです。

 

勤め先はお客さんとして通っていたお店で、オーナーの人柄やお店の居心地の良さを知っていたので、ここで働けたらいいなと思っていました。そうしたらタイミングよく雇っていただけて。30歳にしてようやく高校時代から憧れていたバーテンダー人生のスタートでした。

 

そもそも僕がお酒の世界に興味を持ったのは、高校生の頃。
夏休みに年の離れた兄が持っていた漫画を読みふけったことです(笑)。酒場を舞台にした『BARレモン・ハート』という漫画でバーの世界に引き込まれたのと、テレビ番組のカクテル講座を観たことがきっかけ。バーテンダーがシェーカーを振る様子がすごくカッコよくてね。憧れてバーテンダーになりたいと思いましたが親は大反対。当時まだ未成年ですし、親としては当然でしょうね。

 

 

だから、ひとまず地元を離れる口実として、埼玉県の会社に勤めながら近所のバーに通い詰めました。そこでバーテンダーになる道を探すうちに、バーテンダーの検定試験や競技大会を主催する日本バーテンダー協会の養成スクールがあることを知ったんです。早速申し込んで、日中は会社員として仕事をしながら、夜間はバーテンダースクールに通うこと3か月。必死で学びましたが、期待していた就職先の斡旋がうまくマッチングしなくて……。結局、また会社員として働きながらバーに通う日々に戻ってしまいました。

 

そのときは、自分がなんのために新潟から関東圏に出てきたのかわからなくなってひどく落ち込みましたが、初心に戻って気持ちを切り替えようと、会社員を辞める決意したときに馴染みのバーに雇ってもらえたんです。救われた気がしましたね。

 

ようやく憧れのバーテンダーとして3年間ほど経験を積み、独立して自分の店をもつために2003年に妻と見附市に戻ってきました。そして会社員として働きながら自宅を兼ねた店舗を建て、娘の名前「ほのか」に由来したCafe ho.ccaをオープンしたんです。昼は妻がカフェを切り盛りして、夜は僕がバーテンダーとして、シングルモルトウイスキーやカクテルを提供するカフェバーです。

 

僕がクラフトビールに目覚めたのは、2012年に新潟で開催されたカクテルコンペティションの全国大会でクラフトビールを試飲したことがきっかけでした。スコットランドのブルワリー「BREWDOG」の代表作「PUNK IPA」を飲んで、とんでもない衝撃を受けたんです。それまでにも日本のクラフトビールを飲んだことはありましたが、世界にはこんなに香りのいいビールがあるんだ!と知って。そこからカフェで国内外のクラフトビールも取り扱うようにしたんです。

 

成長を実感しながらも、まだまだ勉強中。 当面の目標は醸造技術のレベルアップです。

 

とりあえず10年は頑張ろうと思っていたカフェは、厳しいときを乗り越えながらもなんとか2016年に10周年を迎えました。その周年ビールの醸造体験でブルワリーの立ち上げを決意したわけです。発泡酒免許を取得するなら今がチャンスだと思って(※1)、BLUE MAGICのスタッフに相談しながら開業準備をスタート。ところが、カフェの経営も順風満帆ではなかったものですから、製造免許の取得はさらに大変です。

 

カフェに会社員としての仕事も続けていたので、とても夫婦だけでは開業できないと思い、紹介していただいた醸造経験者に開業準備を手伝ってもらうことに。こうしてなんとか2018年3月末に免許は交付されたものの、そのままブルワーをお願いするつもりだった彼が諸事情で退職することになり、いきなりブルワー不在の状態……。頼りにしていたので痛手でしたが、栃木の「うしとらブルワリー」の代表 寺崎さんに新潟出身の醸造経験者である丹治君と、アドバイザーとしてエチゴビール(※2)の立ち上げから手掛けたベテラン醸造家の菊地明さんを紹介していただき、一念発起して再スタートを切ることができました。こうして初仕込みまでこぎつけたのが2018年7月、自家醸造ビールのお披露目は8月。これまでの紆余曲折をずっと見守ってくださったお客さんも「やっとできたね」と、胸をなでおろしたようです(笑)。

 

 

MITSUKE Local Breweryのビールは、ホップの豊かな香りが特徴のペールエールを中心に、IPAやセッションIPA、季節限定とラインナップを展開しています。市内のぶどう農家が栽培している糖度の高いスチューベンや、米どころ新潟らしく、お米や米粉を使ったビールを造ってきましたが、いずれは見附で育てた麦やホップを使って、オール見附のビールに挑戦したいですね。見附という地域に密着したブルワリーとして、なるべく地域の農作物を使ったビールを造っていきたいと思っています。

 

2019年5月に立ち上げから支えてくれた丹治君が、気仙沼に新しくできた「BLACK TIDE BREWING」に旅立ったので、今は僕自身がヘッドブルワーとして奮闘しています。当面の目標は醸造技術の底上げ。新潟県には歴史も実力もあるブルワリーが多いですから、連携しながらビールの品質をさらに上げていきたいと思っています。それと見附の素材をどんどん使っていくこと。もっと地元のことを知って深く結びつくことで、地元のブルワリーとして溶け込んでいきたいですね。

 

ビールがなかなか売れなかった時期はつらいものがありましたが、ボトル販売を始めてから酒屋に置いてもらえる機会が増えて、コラボビールのご要望もいただくようになりました。MITSUKE Local Breweryを知ってくださる方が増えたのはうれしいですよ。

 

ひとつのまちに、ひとつのブルワリー。

 

自分のまちに醸造所があるっていいですよね。そんな文化が見附市に根付いてくれることを願って、ここに根を下ろして末永く続けたいと思います。

 

(※1)2018年4月1日の酒税法改正により、ビールとして定義される要件が緩和。新酒税法では少量生産、小資本での新規参入が難しくなるが、法改正前に発泡酒免許を取得している場合は、少量のビール生産が可能という経過措置があり、発泡酒免許の駆け込み取得が相次いだ。

 

(※2)1994年の酒税法改正による地ビール製造解禁後、国内で最初に製造開始した新潟県のビールメーカー。

 

取材・文/山口 紗佳

鈴木オーナー

飲んだ人に喜んでもらいたい、笑顔になってもらいたいという思いで丹精を込めて仕込んでいます。ビールは毎回レシピを調整しながらブラッシュアップしていきますので、MITSUKE Local Breweryから見附市に興味を持っていただけるとうれしいです。

OTHER BREWERIES

その他のブルワリー

経験はいらない、ほしいのは熱量。
ロックな猿たちのセッションで一緒にワクワクしよう。

栃木県北西部にある日光市。
古くは山岳信仰の修験場として多くの寺社や遺跡が点在し、中でも日光東照宮を含む「日光の社寺」は世界遺産に登録された代表的な観光スポットとして知られています。48もの急カーブが続く「いろは坂」や、落差97mを誇る日本三名瀑「華厳ノ滝」、奥日光の入口にある「中禅寺湖」など、絶景が年中楽しめる北関東の景勝地。その日光市に2018年4月に開業したのが「Nikko Brewing」です。
Nikko Brewingの生みの親であり、ビール事業全般の営業・マネジメントを担う株式会社三本松茶屋の鶴巻康文 専務取締役にお話を聞きました。

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Nikko Brewing

栃木県日光市

滋味豊かな穀物の恵みをまるごと感じられる仕事。
ビールも畑から育てるという発想で。

池袋駅から特急で1時間あまり、東武東上線の終点である小川駅。
埼玉県のほぼ中央に位置する比企郡小川町は、有機農業が盛んな地域です。
近年は「小川町オーガニックフェス」を開催するなど、街ぐるみで有機農業に取り組むオーガニックタウンとして知られています。
のどかな田園地帯が広がり、里山の原風景が残る小川町で自家栽培の大麦や小麦、ライ麦などの穀物でビールを醸造しているのが「麦雑穀工房マイクロブルワリー」です。
オーナーブルワーを務める鈴木等さんにお話を聞きました。

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麦雑穀工房

埼玉県比企郡小川町

大海原に光を届ける犬吠埼灯台のように、銚子の未来を照らすビールなんです。

千葉県北東部、関東地方の最東端に位置する銚子市は、古くから首都圏の食を支える第一次産業のまちとして発展してきました。全国屈指の水揚げ量を誇る漁業や、歴史と伝統が息づく醤油醸造業、キャベツやメロン、イチゴに代表する農業など、豊かな地域資源に恵まれた地域です。そんな銚子を象徴する景勝地が銚子の中でも最東端にある犬吠埼。太平洋に突き出た岬からは、山頂や離島を除き、日本で最も早く初日の出を見ることができます。犬吠埼灯台近くの複合施設「犬吠テラステラス」に醸造所を立ち上げた「銚子ビール」の代表、佐久間快枝さんにお話を聞きました。

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銚子ビール

千葉県銚子市

安芸太田町の未来を醸造するステージへ
タッグを組んだ新章「覆面麦酒職人」の幕開けです。

※2025年8月ビール事業終了に伴い、現在は商品販売を行っておりません
広島県山県郡安芸太田(あおきおおた)町。
広島県西部、西中国山地の中央に位置する安芸太田町には、全長16㎞におよぶ大渓谷「三段峡」をはじめとして、「日本の棚田百選」に選ばれた「井仁(いに)の棚田」、夏には蛍が飛び交う「温井ダム」、本州最南端のスキー場がある「恐羅漢山(おそらかんざん)」など、中国山地を代表する景勝地が数多くあります。四季折々の自然に恵まれ、豊かな観光資源を有する安芸太田町で2020年に誕生したのが「安芸乃国酒造」。代表の“オソラー・カーン ”こと、長戸結沙さんに話を聞きました。

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安芸乃国酒造 ※販売終了※

広島県山県郡

泉佐野の誇りを翼に、関空から世界へ。KIX BEERが拓く新境地

大阪府の南部、泉南地域に位置する泉佐野市は、古くから商業、工業、農業、漁業などの産業に支えられた街。1994年に沖合の人工島に「関西国際空港」が開業してからは西日本の空の玄関口としての役割も担っています。関西空港に合わせて対岸に開発された「りんくうタウン」にはホテルや飲食店、ショッピングモールや公園、病院、学校もあり、多くの観光客が訪れる副都心。そこに2020年7月、関空の空港コードをブランド名「KIX BEER」に冠して開業したのが「泉佐野ブルーイング」です。醸造責任者の志村智弘さんにお話を聞きました。

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泉佐野ブルーイング

大阪府泉佐野市

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