ビールの縁側

スワンレイクビール(新潟県)のはなし

世界品質のロングセラーになっても、
根っこにあるのは師匠から受け継いだ職人魂。

新潟県北東部の下越地方に位置する阿賀野市は、冬にはオオハクチョウやコハクチョウが飛来する「白鳥の湖」で有名な瓢湖や、5つの峰が連なり登山客でにぎわう五頭山、その麓に湧く五頭温泉など、豊かな自然に恵まれたまちです。中でもピーク時には5千羽を超える白鳥が訪れる「瓢湖水きん公園」は、八重桜やアヤメ、蓮の花など、四季折々の表情を見せてくれる阿賀野市随一の景勝地。その瓢湖を醸造所名に冠するのが、「スワンレイクビール」を醸造する「瓢湖屋敷の杜ブルワリー」です。1997年の創業時から醸造をはじめ、在庫管理や営業に携わる渡邉康一さんにお話を聞きました。

とにかく必死でノウハウを覚えました。 師匠・エドさんの技術をできるだけ学ぼうと

 

ブルワリー併設の「五十嵐邸ガーデン」は、約5000坪を誇る新潟の豪農、五十嵐家の大邸宅と庭園をリノベーションした施設です。五十嵐家は、第百十六国立銀行(※1)の創設者で後続の第四銀行の重役も勤めた新潟の豪農で、明治から大正時代に建てられた屋敷の敷地内には、2500坪もの本格的な池泉式回遊庭園があります。訪れたことのある方にはわかると思いますが、和の風情たっぷりの景色はどの季節も本当にきれいなんですよ。春は桃色の花びらが舞い踊る桜、初夏は庭園を包み込むまぶしい新緑、秋は色鮮やかな紅葉、冬は純白に覆われた雪景色と、四季折々の自然が楽しめる最高のロケーションです。

 

この歴史を積み重ねた場所を後世に残すために、結婚式やさまざまパーティもできる施設として、2004年に「五十嵐邸ガーデン」がリニューアルしました。2019年には敷地内にアウトドアメーカー「Snow Peak」のグランピング施設もオープンして、今でこそ都内に「スワンレイク パブ エド」をはじめとした直営店も抱える規模に成長しましたが、僕が入社した1997年はビール事業の立ち上げ準備中でした。専門学校の先生から就職先として紹介されたのが、スワンレイクビールの醸造元、瓢湖屋敷の杜ブルワリーを運営する株式会社天朝閣だったんです。

 

 

「これからはバイオの時代」だと思っていた僕は、新潟の専門学校でバイオテクノロジーを学びましたが、学生の多くは日本酒の酒蔵や食品関係の会社に就職しましたし、ビール業界は全然想像していなかったですね。まだ二十歳そこそこでしたし、醸造家のイメージなんてありません(笑)。当時は1994年の酒税法改正によって各地にブルワリーができ始めた時期。先例もなくて今後どうなるかわからない不安もありましたが、専門学校の同級生で今でもヘッドブルワーを務める本田龍二と一緒に、ブルワーとして入社しました。

 

ブルワーの師匠は、エドさんというアメリカ人のブルーマスターです。

 

醸造のノウハウは、醸造設備の輸入元からアドバイザーとして来日したエド・トリンガリー氏から受け継いでいます。エドさんは日本語が話せなかったので、僕と本田は通訳を介しつつも毎日慣れない英語に苦労しながら、ビール造りのイロハを無心に覚えました。それこそ必死に。専門学校では清酒の醸造技術しか習っていなかったので、エドさんが教えてくれたレシピをまずは忠実に再現できるようになろうと。

 

 

その時代に開業した日本のブルワリーはどこもそうだったと思います。

 

ネットも普及していない時代ですし、うちのように海外から来たブルワーにノウハウを教わるしかなかったんです。設備のメンテナンスや商品の品質管理、原材料やビール酵母、発酵に関する知識や理解が足らない状態なので、ひとたびトラブルが起こると手探り状態。僕らもエドさんが日本を離れるまでの限られた2~3カ月で、できるだけ多くのことを学ばなければならなかったので、それこそ必死に食らいつきましたね。

 

※1 明治31年に「新発田銀行」と改称。

 

“変わらない味”を守るために、変えるところは変える。

 

エドさんが伝授してくれたレシピは、ゴールデンエール、ホワイトスワンヴァイツェン、スワンレイクポーター、アンバースワンエールの4種類。ところが最初は全然売れなくて。レストランは地元のお客さんでそれなりに賑わっていても、ビールはなかなか注文してもらえなかったですね。お客さんから「スーパードライないの?」ってよく聞かれたものです(苦笑)。ビールを扱ってもらえそうな地元の酒屋や飲食店に営業に回っても、「地ビールは高くて売れないから」って門前払いで取り付く島もなくて。一生懸命ビールを造っても飲んでもらえないその頃が一番しんどかったですね。それでも僕たちはレシピを変えずに造り続けました。売れる確証はありませんでしたが、エドさんの技術と熱意を信じて。

 

転機になったのは、2000年にニューヨークで開催された「ワールド・ビア・カップ」(※2)でスワンレイクポーターが入賞したこと。日本のメーカーで初めての金賞をとったんです。

 

自分たちのビールが国際的に認められたことがうれしかったですし、師匠を信じて一貫した姿勢でビール造りに取り組んできてよかったと思えました。地ビールブームが過ぎ去って業界としてはどん底でしたが、「世界一」というインパクトが予想以上に大きくて、それから一気に営業しやすくなりましたね(笑)。

 

 

少しずつビアバーや飲食店からの問い合わせも増えて、「スワンレイクビールを入れたい」と、銘柄指名で注文が入るようになりました。造り手としては、お客さんに飲んでもらって、おいしいって喜んでもらえるのが一番うれしいですよ。イベントやレストランでサービングをすると目に入るんです。ビールを飲んだ瞬間に、お客さんの顔がほころぶのが。それを見るとビール造りに携わってよかったなと思えます。

 

それから国内外、数々のコンテストで賞をいただくようになって、今(2020年11月)までに獲得したメダルの数は金・銀・銅合わせて140個に上ります。醸造技術に自信が持てるようになってからはラインナップも増やして、ストロベリーダークセゾンやインペリアルパンプキンエールなどの季節限定ビールも出していますが、実は定番ビールのレシピは20年前からほとんど変えていません、基本的にはエドさんのレシピ。

 

レシピをほとんど変えてないといっても毎回同じものができるわけではありません。

 

ビールは生き物ですから、微生物である酵母のコンディションや、原料となる大麦の品質、気温や仕込み水といった醸造環境が少しでも違えば味に大きく影響します。それを見極めながら、一定の品質を造り続けることがいかに難しいか。“変わらない味”を守るために、変えるところは変える。ビールを取り巻く世の中が変わっても、ひたすら地道に品質を追求した結果が今につながっていると思っています。

 

今では醸造のメインは本田、僕は原材料の調達や在庫管理、醸造周りの業務と役割分担していますが、根っこの部分は醸造部みんなで共有しているエドさんの職人魂です。

 

 ※2 「The World Beer Cup」は1996年から2年に1度アメリカで開催されている国際的なビールの審査会。「ビールのオリンピック」とも呼ばれ、数ある審査会の中で最も出品数が多い世界最大規模の品評会。

 

取材・文/山口 紗佳

鈴木オーナー

うちで特に人気の定番商品が「アンバースワンエール」です。カラメル麦芽の香ばしさにアメリカンホップの柑橘香と苦味が程よく感じられるアメリカンアンバーエールで、どこにも負けない自信作ですよ。ぜひ樽生で味わってください。

OTHER BREWERIES

その他のブルワリー

国産ホップとブルワリーは、これからの福島県田村市をつくるワンステップなんです。

阿武隈高原の中央にあり、自然豊かな中山間部の複合施設「グリーンパーク都路」は、広大な敷地内にオートキャンプ場やBBQハウスを備えた田村市の公共施設でした。2020年11月、東日本大震災からほぼ休眠状態だった施設の建物を譲り受け、改修してオープンしたのが「ホップガーデンブルワリー」と「ホップガーデンロッジ」です。描く未来は地元産ホップを軸にして「人」「もの」「こと」をつなぐ循環型の地域経済。市内の契約農家ではホップ栽培を手掛けています。福島の事業再生と活性化を目指す運営元の株式会社ホップジャパン代表、本間誠さんとヘッドブルワーの武石翔平さんにお話を聞きました。

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ホップガーデンブルワリー

福島県田村市

「未来に何を残すか?」
百姓の僕はそんなスタンスで、今日も明日も田畑とビールの世話に励んでいます。

富士宮市の中心市街地より北西、雄大な富士山の裾野に美しい棚田が広がる柚野(ゆの)地区を見渡す丘にあるのが、2018年に設立した「FUJIYAMA HUNTER'S BEER(フジヤマハンターズビール)」です。代表の深澤道男さんは、米や大豆、小麦などの農作物を栽培する傍ら、猟期には山に入り狩猟も行う百姓猟師です。2010年からはビールに使う大麦とホップの栽培も始め、希少な在来種である日本ミツバチの養蜂も行っています。里山の恵みを使ったビールで地産地活にこだわる深澤さんにお話を聞きました。

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FUJIYAMA HUNTER'S BEER

静岡県富士宮市

目指すのは、広島のNeighborlyな醸造所。かかわるみんなが笑顔になれるビールを造りたい。

広島市の中心部にあり、世界平和の象徴として開設された平和記念公園の東側、元安橋から続く通りに「広島本通商店街」があります。地元では「本通り」と呼ばれ、広島の商業と文化の中心地として、地元の人に愛される広島の代表的なショッピングストリートです。2020年8月、本通りのアーケードに面したビルにオープンしたブルワリーが「HIROSHIMA NEIGHBORLY BREWING(ヒロシマ ネイバリー ブリューイング)」。ビールは併設の飲食店「CRAFT BEERと炭火はればれ」でも飲むことができます。ヘッドブルワーを務めるKarl Warsopさんにお話を聞きました。

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HIROSHIMA NEIGHBORLY BREWING

広島県広島市

挑まなければ経験値は上がらない。
考えれば考えるだけ、ビールはおいしくなるんですよ。

神奈川県横浜市金沢区。横浜市の最南端で三浦半島の東側に位置する金沢区は、豊かな自然環境が特徴です。横浜市唯一の自然海浜である野島海岸や海水浴場海の公園など八景島マリーナとともに、マリンアクティビティの場として人気を集めています。蛍も見られる金沢自然動物公園や金沢市民の森など緑も豊富で、海と山の自然が楽しめる地域です。そんな風光明媚な金沢文庫エリアに2016年3月にオープンしたのが「南横浜ビール研究所」、別名「BEER LABO(ビアラボ)」。醸造責任者を務める荒井昭一さんにお話を聞きました。

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南横浜ビール研究所

神奈川県横浜市金沢区

希少なシルクを溶かし、生果汁を手搾り。 「うまい!」のためにできることを全てやる

愛媛県の南予地方に位置し、「伊予の小京都」と称される大洲市。街の中心には、400年以上の歴史を誇る大洲城がそびえ、城下には往時の面影を残す古い町並みが広がります。清流・肱川のほとり、明治時代の養蚕業の隆盛を今に伝える赤レンガ倉庫をリノベーションし、2022年春に自家醸造を開始したのが「臥龍醸造」。歴史と文化が息づく場所で、土地の恵みを活かしたビール造りをしています。醸造責任者の梶原玉男さんにお話を聞きました。

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臥龍醸造

愛媛県大洲市

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