山の駅胎内高原ビール園(新潟県)のはなし
「新潟らしさ」を探る日々の業務に飽きないのは、壁を乗り越えるたびに“味”という結果が返ってくるから

胎内高原ビール
新潟県胎内市
新潟県北東部にあり、新潟県と福島県、山形県にまたがる飯豊山地を起源とする胎内川流域に沿って広がる胎内市は、豊富な湧水を利用したお米や農作物、チューリップの栽培で知られる自然豊かな町です。胎内川のほとりにある1994年創業の「胎内高原ビール」では、胎内川に流れ込む飯豊連峰の雪解け水を仕込みに使っています。素材本来の特徴を引き出すのに適した清らかな超軟水を使ったビールは、毎日飲んでも飽きのこないクリアな味わいが特徴。
厳しい環境下も悪いことばかりじゃない、 未来につながる種まきで足固めをしよう。
おすすめは、新潟米を使った「吟籠IPA」「吟籠WHITE」。
「吟籠」シリーズは契約農家に栽培してもらったコシヒカリの食用米を使って仕込むビールです。お米の粉砕具合の検討から始まって、使う量や使うタイミング、煮沸温度や時間など“どの程度の風味づけをするか”で試行錯誤した結果、風味が強すぎず、ビールとして飲みやすいバランスがとれる方法に変えました。具体的には、あらかじめ数分程度煮込んで粗熱をとったおいたお米を麦汁をつくる糖化段階で投入していaます。お米ならではのまろやかさが感じられると思います。地元新潟産コシヒカリというオリジナリティがあるので、限定商品は吟籠シリーズから出すことが多いですね。醸造で出る麦芽カスの一部はビール用のお米の田んぼに、残りも他の田畑で有機肥料として使ってもらっているので事業ごみとしての麦芽カスはゼロ。循環型農業のサイクルになっているんです。
2020年は新型コロナウイルス感染症拡大のおかげで出荷量がガクンと落ちて、仕込みの回数も減ってしまいました。事業環境は厳しいですが、悪いことばかりじゃない。空いた時間を今まできなかったことに使っています。事務作業を効率化してビールに向き合える時間を増やしたり。充填機械の改良や成分測定装置の設計とか、機材のバージョンアップも多いかな。DIYだから知識や技術が身につくんです。グループ企業や教育機関と連携した共同研究も進めていますし、未来への“種まき”ですね。
ひとつ一つは小さなことですが、ゆくゆくはビールの品質向上や地域の活性化に結びつくもの。ビールの品質向上に役立つことだと思って足慣らしをしています。危機を乗り越えた分だけ、きっとビールはおいしくなる。この取り組みがどう味に結びついていくのか、楽しみにしていてください。
取材・文/山口 紗佳

新潟産コシヒカリを使った「吟籠」シリーズなら“新潟らしさ”を味わえると思います。工場でティスティングするビールと同じ、できたてそのままのおいしさを『ビールの縁側』で味わっていただきたいです。
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